いなっちょの独断と偏見で、おすすめの写真集をライトに紹介していくシリーズ。
今回は川島小鳥さんの『未来ちゃん』です。
第42回講談社出版文化賞写真賞受賞作品。(漢字長っ!)
ちなみに川島小鳥さんは、違う作品で木村伊兵衛賞を受賞されてます。
この写真集かなり売れたんで、もしかしたらご存知かもしれませんね。
佐渡島に住む女の子『未来ちゃん』の様子を1年間密着してまとめた写真集。
ちなみに『未来ちゃん』っていうのはこの子の本名ではないそうです。小鳥氏がイメージする『未来ちゃん』が現れた瞬間を撮っているという感じなんだと思います。ありのままの姿を捉えたドキュメンタリーというよりは、一貫したテーマ、世界観に沿って撮られている作品と言えそうです。
ニコンのF6というフィルムカメラと、35mm単焦点レンズで撮影されています。
子どもの写真というと、どうしても笑顔を残したくなると思うんだけど、この写真集は一味違います。それはもう表紙からしてインパクトあるんだけど、鼻水がありえないほど垂れてたり、ものすごい形相でこっち睨んでたり。未来ちゃんの生命力というか、パワーが溢れ出してる感じ。
ある程度写真を撮っていると、変にカッコつけて構図を斜めにしてみたり、被写体を意味もなく端っこの方に配置してみたくなったりするものなんだけど、この写真集では割と日の丸構図が多くて、それが未来ちゃんの魅力をストレートに表現していると思います。
被写体の魅力の前には小賢しいテクニックなんて小賢しいだけなんだと感じさせてくれます。
もちろんインパクト強烈な写真だけじゃなくて、素朴でかわいらしい一面を捉えた写真もたくさん。
泣き顔、ボケーっとした顔、真剣な顔、無邪気な笑顔。
「うちの子はどーしてこんなに…」って子育てに疲れた時に見ると、「あぁ、子どもって本来こういうものよね」ってホッとするか、余計に疲れるかのどちらかでしょう。
散らかりまくった部屋が生活感出まくってたり、フィルムの色合いが懐かしく感じ、なんだかお父さんやお母さんが撮った写真に近い暖かさを感じます。(いや、実際そんなお父さんお母さんだったら、木村伊兵衛賞ものだけど)
未来ちゃんの魅力に引き込まれること間違いなしの写真集です。ぜひご覧になってください。
じゃ!
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