お仕事カメラをキヤノンから富士フイルムのX-T2に変更したんだけど、なんで買い換えることにしたのかとか、プロからみたX-T2のいいところ、いまひとつなところなどについて書こうと思います。
あ、最初に断っておきますけど、機材は全て自腹購入ですので「富士フイルムの回し者だな」とかって思わないよーに!
機材をタダで提供してもらえるなら喜んで回し者になりますけど。
キヤノン機材について
もともとEOS-1D Xというキヤノンのプロ機と呼ばれる一眼レフを使っていました。さすがフラッグシップだけあって、その堅牢性、信頼性は抜群でした。AF(オートフォーカス)もすごく速い。これ使っとけば撮れないものはないってくらいに。
でもね。重いんですよ。
いや、これ1台持って短時間の撮影ならいいんです。
でも現場ではカメラボディ2台、レンズ4~5本を持って1日中撮り続けたりするわけで。
AF(オートフォーカス)はとても速いんだけど、正直その精度は信頼できない時もありました。特に周辺の測距点を使ったとき。測距点がたくさんあるのに、ここぞと言うときには中央のポイントしか怖くて使えないということもしばしば。レンズとボディの相性があって、それが悪いときはサービスに送ってピントマッチングしないといけないのも不満でした。
フィルム時代から続くAF方式(位相差AFといいます)の限界なのかな。現代の超高画素カメラだと、ほんのちょっとのピントのズレも目立ってしまうので。
とはいえ、このカメラでないとダメなフィールドも確実にあるし、いいカメラなのは間違いないです。ただ僕にはオーバースペックだったんですね。適材適所ってやつ。
富士フイルムのXシリーズ
X-T2は2016年9月に富士フイルムから発売されたミラーレス一眼。上の写真を見ての通り、従来の一眼レフカメラと比べて小型軽量なのが特徴です。
センサーサイズはAPS-Cの2430万画素。ボディのみの価格は16万円くらい。フルサイズ機に比べたら安いけど、APS-Cにしてはちょっと高いかなーって価格ですね。
以前のミラーレス機はAFとかが一眼レフに比べて全然ダメだったんだけど、ここ最近の機種はだいぶ性能が向上して、一眼レフに肉薄するレベルまできたように思います。
X-T2のいいところ
小さくて軽い
仕事でよく使っていた組み合わせで重さを比較してみます。
EOS 1DX 1,530g(本体のみ1340g)
EOS 6D 755g(本体のみ680g)
レンズ
16-35mm 640g
35mm 335g
50mm 160g
85mm 425g
135mm 750g
計4,595g
これにストロボを付けるから5kg超えです。
そりゃ重いわ。
一方のフジはというと
X-T2 507g(本体のみ457g)2台
レンズ
14mm 235g
23mm 300g
35mm 187g
56mm 405g
90mm 540g
計2,681g
ストロボをつけて3kgちょいってとこ。
約2kgの軽量化。これは結構大きい。
撮ったままのJPEGがきれい
富士フイルムはフィルムを製造している会社だから、色に対して並々ならぬこだわりがあるようでして、X-T2から出てくるJPEGはとても美しいです。フィルムシミュレーションという機能によって、まるでフィルムを選ぶように色調や階調をコントロールすることができるのです。
僕はRAWで撮影して後処理で自分の好きな色にしちゃうけど、JPEG撮って出しが綺麗であることに越したことはないのです。
撮る前に結果がわかる
これはミラーレス機全般の特徴なんだけど、常に撮影結果がファインダーに表示されているので、撮ってから「あ、真っ白になっちゃった!」ってなることがないので、失敗が非常に少なくなります。普通の一眼レフでも、経験を積めばそんなに大外しすることはないんだけど、うっかりミスることはゼロじゃなかったりします。失敗が許されない撮影において、これはありがたい。
完全無音で撮影できる
普通の一眼レフにもサイレントモードがあったりするけど、それでも完全無音にはなりません。X-T2では電子シャッターを使うことで完全無音で撮影が可能。たとえば結婚式とか発表会とか、音が気になる場面で大変に重宝しますよ。
ダイヤル操作
シャッタースピード、絞り、感度、露出補正がアナログなダイヤル操作になっていて、正直最初はデジタルカメラなのに古臭い操作性だなーって思ってました。でもね、ある程度使い込んでみると、これってミラーレス機にはすごく相性がいいんじゃないかと思うようになりました。
ミラーレス機って、バッテリーの消費が激しいからこまめに電源OFFにしないといけないんですよ。でもこのダイヤルだったら電源が入ってなくても設定値が確認できるんですな。
あと、このフォーカスポイントのセレクターも便利。キヤノンにもあるけどね。
高精度なAF
上の方で位相差AFは精度がイマイチって書きました。
X-T2は位相差AFとコントラストAFのハイブリッドで、それぞれのいいとこ取り。つまり速くて正確なのです。原理的に前ピン後ピンが起きないので、安心して周辺の測距点も使うことができます。
正直、スポーツなど動きの速いものを撮るのにはまだちょっと一眼レフには負けるかなーと思うけど、僕が撮る範囲では十分な性能になったかなと。
高性能なレンズが揃っている
ボティだけ良くてもレンズが悪くちゃ意味がないわけで。富士フイルムは昔から業務用のレンズも手がけていて、その品質の高さは折り紙付きです。明るいレンズが揃っているので、フルサイズに比べて少なくなりがちなボケも十分に得ることができます。
APS-Cに23mm f1.4の組み合わせは、フルサイズに35mm f2.0と同じくらいの画角とボケ量。
X-T2のいまひとつなところ
とまあ褒めちぎりなX-T2なわけですが、もちろんイマイチなところもあったりします。
レンズによって操作が違う部分がある
致命的というほどじゃないけど、なんでそうしたのかなーって思うのがこれ。レンズによってMFへの切り替え方が違います。ほとんどAFで撮ってるからそんなに困ってはいないけど、AFでピントが合わない時とか、ちょっと混乱します。
どういうことかというと、左のレンズの場合、MFへの切り替えはボディ側のスイッチで行いますが、右のレンズの場合はレンズのフォーカスリングをスライドさせて行います。
たったそれだけのことなんだけど、それによってフォーカス操作に関する整合性がめちゃくちゃになってる感があります。
特にAF+MFモードに設定した時。
左のレンズだとAFで合わせた後MFで微調整が問題なくできるけど、右のレンズだとAFで合わせた後、フォーカスリングをスライドさせ微調整……のはずが、フォーカスリングが無限遠とか最短距離の位置にあると、それ以上回せないから微調整できないんです。
フルタイムマニュアルフォーカスの操作性に難有りですね。
他にも絞りリングの有無や絞りオートへの切り替え方の違いなど、レンズによって違いが多くて、操作性が洗練されていない印象。
撮影した枚数がわからない
WEBでこのことに言及してる人少ないんだけど、これ結構衝撃的だと思うんだけどなぁ。
普通、再生画面には撮影したカット数が表示されてますよね。フジのカメラはそれが表示できないんですよ!(できないとの公式の回答をいただいてます)
ファイル名から大体はわかるけども、撮影しながら画像の削除をすると、ファイル名と実際に保存されている枚数とにズレが生じるので、正確な枚数はわかりません。
結果、「何枚撮った?」って聞かれたら
って答えることになります。
表示しない理由がさっぱりわからないので、これはぜひともファームアップで解決してほしい。
バッテリーの持ちが悪い
これはまあフジに限らずですが、やっぱりミラーレス機はバッテリーの減りが早いです。
だからこまめな電源OFFが運用のコツになるんだけど、そうすると起動時間の遅さが気になってきます。あっ!と思った時に電源を入れながら構えても、ファインダーがまだ真っ暗でシャッターチャンスを逃すことがあります。
起動時間0.3秒らしいんだけど、うーん、ちょっと遅いかなぁ。せめて0.1秒を達成してほしいな。さらに言うなら背面液晶とEVFの切り替えも速くしてほしい。
まとめ
さていかがでしたでしょうか。
改善してほしいところもあるにはあるけど、買ってよかったと思えるカメラであることは間違いありません。デザインも好きだしね。
フィルムを作ってきたメーカーが、フィルム時代のシステムであるミラーを取っ払ったカメラを作ったのが興味深い。たぶん今後はミラーレス機が主流になるんじゃなかろうかと思ってます。実際僕の周りでもミラーレスに変更するプロが増えてますしね。
一眼レフを買ったはいいけど、大きくて持ち出さなくなっているなら。富士フイルムのミラーレス機、おすすめですよ。
1年間使い込んでのレビューもぜひ読んでみてください。
富士フイルムのカメラは、同じ世代なら基本的に画質は同等なので、X-T2はちょっと予算オーバーってことなら、X-T20とかいいですよ。
レンズは交換しないってことならこれがオススメ。
さらにお求めやすいX-A3も。画質は同等です。